有機化学

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Vilsmeier反応

Vilsmeier反応は、電子豊富なアレンのホルミル化を可能にする反応。

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Strecker反応

ストレッカー反応(Strecker reaction)は、アルデヒドまたはケトンとアンモニア、シアン化水素との反応により、アミノ酸を合成する反応である。ストレッカーのアミノ酸合成とも呼ばれる。アドルフ・ストレッカーにより1850年に報告された歴史の古い反応であるが、様々な変法が生み出され、現在でもアミノ酸合成において重要な地位を占める。また、生命の発生以前に、この反応によってタンパク質の素となるアミノ酸が作り出されたものと考えられている。


反応機構
まずアルデヒドとアンモニアからイミンができ、ここにシアン化物イオンが求核反応を起こしてアミノニトリルができる。多くの場合、これを単離せずワンポットで加水分解(濃塩酸で加熱などの条件)することにより、目的のアミノ酸を得る。アルデヒドとしては芳香族・脂肪族どちらの誘導体も使用可能である。


変法
一般的には危険性の高いシアン化水素の使用を避け、シアン化ナトリウムなどと塩化アンモニウムを用いて反応を行う(ゼリンスキー・スタドニコフの変法)。また炭酸アンモニウムとシアン化アルカリを用いると、ヒダントイン誘導体として生成物が得られてくる。ここで十分精製を行った後に水酸化ナトリウムなどで加水分解を行うことにより、純度の高いアミノ酸が容易に得られる。アミノ酸は水溶性が高く、抽出・精製が難しいケースがままあるのでこの方法は有用性が高い。


不斉ストレッカー反応
光学活性なアミノ酸の需要は大きいため、古くからストレッカー反応の不斉化は試みられてきた。窒素原子上に電子求引基を付けてイミンを安定に単離しておき、ここに不斉触媒存在下でシアン化物イオンを作用させる方法が多く、柴崎ら、丸岡ら、ジェイコブセンらがそれぞれ独自の手法を発表している。また不斉補助基を用いるエルマンらの手法も応用範囲が広い。

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Horner-Wadsworth-Emmons反応

ホーナー・ワズワース・エモンズ反応(Horner-Wadsworth-Emmons反応)は、アルキル亜リン酸ジエステルから発生させたカルボアニオンをケトンまたはアルデヒドと反応させ、アルケンを合成する反応である。1958年、ウィッティヒ反応の変法としてホーナーらがこれを発表し、後にワズワースとエモンズが改良条件を報告した。こうした経緯から、ウィッティヒ・ホーナー反応(Wittig-Horner反応)と呼ばれることも多い。




本来のウィッティヒ反応で用いられるリンイリドに比べてホスホナートカルボアニオンの反応性が高いこと、(E)-選択性が高いこと、また副生するリン化合物が水溶性であるため、分液操作だけで除去が可能な点がメリットである。このため特に(E)体のα,β-不飽和エステル・ケトンなどの合成によく用いられる。


アルキルホスホン酸エステルの合成
ハロゲン化アルキルと亜リン酸トリエチルとのミカエリス・アルブーゾフ反応によって合成される。ホスホノ酢酸トリエチルなど主要な試薬は市販されている。


反応条件
適当な有機溶媒(アルコール類、THF, 1,2-ジメトキシエタン, DMSOなど)にアルキルホスホン酸エステルを溶解し、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸カリウムなどの塩基を作用させてアニオンを発生させる。ここにカルボニル化合物を加え、一定時間反応させる。反応温度は基質により、-78度から還流まで幅広い。塩基性に弱い基質を用いる際には、DBUまたはトリエチルアミンと塩化リチウムを併用するとよい。


選択性
トンプソンとヘスコックは、各種アルデヒドのホーナー・ワズワース・エモンズ反応における選択性について系統的な検討を行い、次のような場合に(E)-選択性が高まることを見出している。

アルデヒドが立体的にかさ高い
反応温度が高い
リチウム塩>ナトリウム塩>カリウム塩
THFまたはDMEを溶媒として用いる
一般に、ケトンに対するE,Z-選択性はほとんどないか、中程度にとどまる。


Z-選択的ホーナー・ワズワース・エモンズ反応
1983年、W.C.スティルらは通常用いられるリン酸のエチルエステルの代わりに2,2,2-トリフルオロエチルエステルを用いることで、通常とは逆にZ-オレフィンが得られることを示した。塩基としてカリウムヘキサメチルジシラジドを用い、18-クラウン-6を共存させることで選択性は高まる。


 

琉球大学の安藤は、リン酸部分の置換基として2,2,2-トリフルオロエチル基でなくフェニル基を使うと、さらに高選択的にZ-オレフィンが得られることを示している。この場合水素化ナトリウム/THFや、DBU/ヨウ化ナトリウム/THFなどを用いることができ、スティルの条件に比べて操作の面でも簡便である。

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Wittig反応

ウィッティヒ反応(Wittig Reaction)とは有機合成化学において、ウィッティヒ試薬を呼ばれるリンイリドとカルボニル化合物からアルケンを生成する化学反応のことである。

本反応は1954年にゲオルク・ウィッティヒらにより報告された。この反応の発見によりゲオルク・ウィッティヒは1979年のノーベル化学賞を受賞した。

ウィッティヒ試薬
ウィッティヒ試薬はトリフェニルホスフィンとハロゲン化アルキルとの反応で合成されるホスホニウム塩を、塩基で処理して脱ハロゲン化水素することで生成する化合物である。 その構造はイリド Ph3P+-CR2 とホスホラン Ph3P=CR2 との共鳴構造で表される。

ウィッティヒ試薬の反応性はその負電荷を持つ炭素上の置換基の性質によって大きく変わる。 負電荷を安定化する置換基が存在するとウィッティヒ試薬は安定となり、単離することも可能になる。 一方で反応性は低下し、反応性の低いカルボニル化合物との反応が困難になる。 ウィッティヒ試薬は負電荷を持つ炭素上の置換基によって大きく以下のように分類される。

不安定イリド: 水素、アルキル基、アルケニル基
準安定イリド: アルコキシ基、フェニル基
安定イリド: カルボニル基、シアノ基
不安定イリドは反応液内で前駆体となるホスホニウム塩とアルキルリチウムを金属アミドなどの強塩基を加えて in situ で発生させる。反応性が高くアルデヒドやケトンと迅速に反応する。また、空気中の水分や酸素とも容易に反応してしまうため、反応は不活性ガス下にて行なう必要がある。非プロトン性の溶媒を使用してドライアイス-アセトン浴などで -78 ℃ に冷却して行なう。

安定イリドはホスホニウム塩をアルコキシドなどの比較的弱い塩基で処理することで発生させる。発生させたイリドはそのまま反応に使用することも可能であるし、単離して保存することも可能である。反応性が低くアルデヒドとは反応するが、ケトンとは反応しにくい。反応溶媒はアルコールなども使用することが可能で、室温から加熱還流下で反応を行なうことが多い。

準安定イリドはこれらの中間的な性質を持つ。


反応機構
古典的にはウィッティヒ試薬の炭素原子がカルボニル炭素に求核付加して双性イオン中間体であるベタイン中間体を形成した後、リン原子と酸素原子が結合して四員環状のオキサホスフェタン中間体が生成し、ここからトリフェニルホスフィンオキシドが脱離してアルケンが生成する反応機構が受け入れられていた。

しかしベタイン中間体については遊離の状態で確認されたことがなく、反応速度論的な研究結果などからはベタイン中間体の存在について否定的な結果が出ている。そのため、現在では協奏的に炭素原子のカルボニル基の炭素への攻撃と、カルボニル基の酸素のリンへの攻撃が起こり、一段階で四員環のオキサホスフェタン中間体を形成する機構で考えることが主流となってきている。


選択性
ウィッティヒ反応においては、イリドの安定性によって生成するアルケンのE-Z選択性が異なる。 通常は安定イリドの場合はE体の、不安定イリドではZ体のアルケンが生成する。準安定イリドの選択性は通常低い。


古典的なベタイン中間体を経る反応機構ではこの選択性は以下のように説明される。 不安定イリドの場合、その不安定さ故にイリドとカルボニル化合物が結合すると逆反応は起こらない。そのため反応は速度支配となり、中間体であるオキサホスフェタン生成の遷移状態の安定性によって生成物の構造が決定される。最も安定となる遷移状態はリン原子とカルボニル酸素、イリドの置換基とカルボニル基の置換基がそれぞれアンチペリプラナーに位置するものである。この形態で生成したベタインから生成するオキサホスフェタンはシス体となり、ここからトリフェニルホスフィンオキシドがsyn脱離することでZ体のアルケンが主生成物として得られる。


安定イリドの場合、最初の付加が可逆であるため、熱力学的により安定なトランス体のオキサホスフェタンが主として生じ、E体のアルケンが主生成物として得られる。


しかし、安定イリドでも後述のsalt-free条件ではオキサホスフェタンのシス-トランス間の変換は遅く、やはり速度支配の反応であることが判明している。 またオキサホスフェタンからのホスフィンオキシドの脱離はその立体反発によりシ体の方がトランス体よりも速いため、平衡はやがてシス体の方へと戻ってしまう。

協奏的なオキサホスフェタン中間体の生成を考える反応機構では、選択性は遷移状態が反応が進行していく過程のどこに位置するかで決まる。 オキサホスフェタンの生成過程はリン原子と酸素原子の二面角が小さくなっていくという特徴がある。 これはウッドワード・ホフマン則によりスプラ-スプラ型の[2+2]環化付加反応が対称禁制であることに起因する。 そのためカルボニル基のπ*軌道はリン原子の軌道と重なる際に、イリド炭素の負電荷の入っている軌道とは直交している軌道と重なろうとする。 このため、ちょうどリン原子とカルボニル酸素はゴーシュの位置関係になるような形で付加がはじまる。 そして、反応が進むにつれて二面角が閉じていき、リン原子とカルボニル酸素原子はシンペリプラナーの位置関係に近づいていく。

不安定イリドにおいては、出発物がより不安定な(エネルギー的に高い)ため、ハモンドの仮説によればその遷移状態は原系に近いと考えられる。そのため、遷移状態の構造はリン原子とカルボニル酸素がゴーシュの位置関係に近い状態にある。この状態ではカルボニル基の置換基はリン上の3つのフェニル基との立体反発を避け、そのアンチペリプラナーに位置するのが最もエネルギー的に低い遷移状態になる。ここから生成するオキサホスフェタンはシス体であり、Z体のアルケンが最終的に生成する。

一方安定イリドにおいては、出発物がより安定な(エネルギー的に低い)ため、遷移状態は生成系に近いと考えられる。そのため、遷移状態の構造はリン原子とカルボニル酸素がシンペリプラナーの位置関係に近い状態にある。この状態ではカルボニル基の置換基はイリド炭素上の置換基と重なる位置を避けるのが最もエネルギー的に低い遷移状態になる。ここから生成するオキサホスフェタンはtrans体であり、E体のアルケンが最終的に生成する。


salt-free条件
不安定イリドを生成する際にアルキルリチウムやリチウムジイソプロピルアミド (LDA) を塩基として使用するとZ体の選択性が悪くなる。 ベタイン中間体がハロゲン化リチウムとの複塩となって安定化されて、オキサホスフェタンのシス-トランス異性化が促進されるためと考えられている。

これを避けるために、塩基としてナトリウムヘキサメチルジシラジド (SHMDS) などを使用する。この条件では副生するナトリウム塩が沈殿して反応系から出るため、上記のような平衡が起こらなくなる。この条件をsalt-free条件という。


Schlosser条件
不安定イリドからE体のアルケンを合成するための方法で、2当量以上のアルキルリチウムを使用する。 生成したオキサホスフェタンのリン原子のα位からプロトンを2当量目のアルキルリチウムが引き抜く。 生成したオキサホスフェタンのリチウム塩はより熱力学的に安定なトランス体へと迅速に異性化するため、生成するアルケンはE体となる。


変法
この反応の変法として、ホスホニウム塩ではなくホスホン酸エステルを用いるものがある。これはウィッティヒ・ホーナー反応 (Wittig-Horner reaction) またはホーナー・ワズワース・エモンズ反応 (Horner-Wadsworth-Emmons reaction) と呼ばれる。

ホスホラン型の安定イリドと比べてホスホン酸エステル誘導体のアニオンのほうが求核性が高いこと、副生物のリン酸誘導体が水溶性であるため後処理が楽であることなどが利点として挙げられる。

さらに、ホスホン酸エステルのリン上に電子求引基を導入することでリン酸エステル誘導体の脱離を促進させることにより、安定イリドを用いながらZ体のアルケンを選択的に合成することも可能である。


関連反応
カルボニル基からオレフィンを形成する反応として様々な工夫が行われている。リン原子ではなく硫黄(スルホン)を鍵原子として用いるジュリア反応、ケイ素を鍵原子とするピーターソン反応などである。

テッベ試薬など、チタンのカルベン錯体も同様の反応に利用される。塩基によりエノール化しやすいケトンも収率よくオレフィンに変換できる他、エステルとも反応してエノールエーテルを合成することができる。

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Julia反応

ジュリア反応(Julia Olefination)は、(E)アルケン類を合成する反応。

phenylsulfonylカルボアニオンのアルデヒドまたはケトンへの付加によって中間体としてアルコールが生じ、系中でエステル化される。次に第2のステップとして、ナトリウムアマルガムによる還元的脱離が起き、アルケンを生成する。

また、Julia-Kociensky Olefinationは一段階で、(E)アルケンを合成できる。

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alkoxide

アルコキシド(alkoxide)とは、アルコールの共役塩基であるアニオンのことで、有機基が負電荷を持つ酸素につながった構造 RO− (R は有機基)を持つ。また、アルコールのヒドロキシ基の水素が金属で置換した化合物の総称でもある。IUPAC命名法ではアルコキシドの別名としてアルコラート (alcoholate) という呼称も許容するが、アニオン種を表す場合はアルコラートと呼ぶことができない (IUPAC NOC Rule C-206)。なお、フェノール類の共役塩基はフェノキシドと呼ぶ。


性質
金属種がナトリウム、カリウムなどアルカリ金属の場合はイオン結合性であるが、マグネシウムやアルミニウムなどの場合はイオン結合と共有結合の中間的な性質を示すなど、カウンターカチオンの種類によっても金属-アルコキシド間結合の性質は変化する。

アルカリ金属のアルコキシドは強い塩基であり、かつ強い求核剤である(ただし、R 基の立体障害が大きい場合は求核性が弱められる)。アルコキシドは一般に水などのプロトン性溶媒の中では不安定であるが、ウィリアムソンエーテル合成などのさまざまな反応において反応中間体や活性種としてはたらいている。

金属ナトリウムなど、プロトンよりも酸化還元電位がかなり高い金属の場合、アルコールに金属が溶ける際に水素ガスを放出して金属アルコキシドが生じる。この反応は硫酸がイオン化傾向の大きい金属を溶解する場合に相当し、アルコールは酸のようにはたらいている(プロトンが金属を酸化することで金属がイオン化する)。

R−OH + Na → R−O– + Na+ + 1/2 H2
塩基性の水溶液中においては、残存する水がアルコールよりも酸性度が高いのでアニオン交換して水酸化物イオン (OH−) を生成するため、定量的にアルコキシドを生成することはできない。すなわち、アルコキシドは水中では寿命が短く、わずかな量しか存在し得ない。もしも定量的にアルコキシドを調製したい場合は、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなど、非プロトン性の溶媒中で強塩基をアルコールに作用させればよい。そのための強塩基としては、有機リチウムや水素化ナトリウムなどが用いられる。金属ナトリウムをエタノールなどのアルコールに加えてアルコキシドを発生させ、そのまま溶液として使用する場合もある。


用途
ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム t-ブトキシドなどは市販品が入手可能である。これらはいずれも強塩基である。さらに カリウム t-ブトキシドは、tert-ブチル基の立体障害のために求核性が低く、脱プロトン化を選択的に起こしたい場合の強塩基として多用される。

アルコキシドは、その強塩基により、ケトンのα位からプロトンを引き抜き、エノラートを発生させることができる。クライゼン縮合、アセト酢酸エステル合成、ファヴォルスキー転位などの有機合成反応において、塩基として用いられる。アルコキシドの求核性を利用する反応としては、ウィリアムソン合成、エポキシドの開環反応などが挙げられる。

また、アルミニウム 2-プロピレート(この化合物はトリイソプロポキシアルミニウムと呼ばれる)はメールワイン・ポンドルフ・バーレー還元に利用される。

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anhydride

無水物

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tetrahedral

四面体の

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ロッシェル塩

ロッシェル塩は酒石酸カリウムナトリウムのことである。
酒石酸カリウムナトリウムは、2価のカルボン酸である酒石酸がナトリウムおよびカリウムと塩を形成した構造をもつ複塩。1675年ごろにラ・ロッシェルの薬学者ピエール・セニエット (Pierre Seignette) によって初めて合成されたことから、ロッシェル塩またはセニエット塩とも呼ばれる。

無色または青白色をした斜方晶で、通常4分子の結晶水を含み化学式 KNaC4H4O6・4H2O で表される。水に非常によく溶ける (1111g/L) がアルコールには難溶。

やや塩辛く清涼感のある風味を持ち、EUでは食品添加物として認められている(E337)。薬学分野では下剤や利尿剤として用いられる。

穏和な還元作用をもつため、銀の無電解めっきを行う場合に還元剤として用いられる。古くは板ガラスから鏡を作製する際に利用された。


圧電効果
単結晶は4000程度の高い比誘電率を示す強誘電体であるが、下限のキュリー温度をもち、255-297K の温度範囲でしか強誘電性を示さないという特徴を持つ。

1921年に強誘電体であることが報告されて以降、クリスタルイヤホンやクリスタルマイクなどの圧電素子として盛んに利用された。第2次世界大戦中は通信等に不可欠な軍需物質として、葡萄園などから原料が大量に集められた。現在ではリン酸二水素カリウム (KDP) やチタン酸バリウム (BT) など他の材料が発見されたため、湿気に弱いロッシェル塩は圧電素子としてはほとんど利用されていない。


キレート作用
水への溶解度が高く、また水中で電離しキレート作用を持つ酒石酸イオンが生じるため、弱塩基性キレート剤として広く利用されている。工業的にはめっき液の成分として、化学分析においてはフェーリング試験・ベルトラン試液・ビウレット試験・ネスラー試験、カドミウムの定量などで試薬のひとつとして加えられる。

有機合成においては、キレート作用によって分液操作時のエマルションや沈殿の形成を抑止するために、特にLAHやDIBAL-Hなどの水素化アルミニウム系試薬を用いた反応の後処理に利用される。

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エノラートのHSAB則

エノラートは、一般論としてアンビデントな(反応点が2か所ある)アニオンの場合には、電気陰性度が大きくサイズの小さい側がハードになる。すなわち、酸素の側がよりハードになる。酸素の方が電気陰性度が大きいために、電子が原子核に強く引き付けられ、その分だけ負電荷が狭い空間に集中しているというイメージでよい。
つまり、酸素より電気陰性度の小さい炭素のアニオンは、酸素アニオンに比べれば軟らかい。

α、βー不飽和カルボニル化合物には、感覚的な説明は難しいが、カルボニル炭素の方が酸素の影響を強くうけて、狭い範囲に正電荷があるというイメージになる。ただし、こうしたイメージを過信するのは危険であり、判断を誤る原因にもなりかねない。経験的事実として、β位の方がソフトであると考えた方が良いかもしれない。また、ここでのハード、ソフトは相対的なものであると考えた方が良い。

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準平衡

準平衡とは、平衡状態の後を受けて起こるものであり、あらゆる瞬間において、系の平衡状態からのずれは、あくまでも微小である。

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ウォーレン有機化学

主に(そして、特にイギリス人)ヨーロッパ人の学生を対象にした教科書の新式。
ほとんどすべての現在の有機化学テキストが固定アメリカのパターンに書かれているが、本稿はこれらと多くの重要な方法で異なっている。

アプローチは事実よりむしろ説明に基づいている。
機能的なグループアプローチ(アルカン、アルケン、アルキン)はアメリカ人のステートカレッジの読者によく役立ったが、ますます、学生とインストラクターはメカニズムと反応タイプに基づくアプローチにさらに引き付けられる。 このアプローチは、事実上であるというよりむしろ分かっている知識を目的として、始めでは、より遅いのですが、結局、以前に決して直面されていなかった化合物と反応を理解する学生パワーを与える。 これは学ぶ個人には、既に大き過ぎる科学の、より大きい速度で毎年広がっている大きい利点です。
対象の基礎は慎重に、そして徹底的に説明されます。 どう現実的に分子を描くか、そして、基本的な化学を明らかにするためにどうメカニズムを描くかはともに強調される。 後の章で関連するようになるとき、重要なポイントは再訪されている。 また、例は非常に重要である。 概念が再浮上されるたびに新しい例を与える、そして、頻繁に日常生活からの例と医薬品化学を使用する。 作者は事実によって圧倒されるより有機化学の普遍性で読者をむしろ興奮させて欲しい。 本のデザインには、読解を助ける特徴がある。
構造は赤で描かれ、そして、黒は強調にそれらの上で使用される。 他の色は、堅い系統立った方法に使用されるよりむしろ作者が強調したがっている原子、分子、軌道、矢または何でもに注意を向けるのに柔軟に使用される。
主なテキストから材料を分離するのに使用される「箱」の4つのタイプがあります、余分な重要な概要から最初に読書するのに省略することができる転換まで及んで。 カルボニルグループへの付加がたぶん理解している中で最も簡単な反応であるので、始めの章はカルボニルグループ反応を特徴としている。
その後、化学は分光学で論理的な系列にもかかわらず、章で展開して、立体化学などは化学反応に対処するものに点在する。
時々、レビュー章は特定の領域で説明されることについて略言し、個人的で正直なアプローチは取られる。



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stryker試薬

stryker試薬(ストライカー試薬)は、[PhPCuH]6で表され、熱的に安定なヒドリド源として、1,4-還元に用いられる。

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インドール

インドール(Indole)はベンゼン環とピロール環が縮合した構造をとる有機化合物である。窒素原子の孤立電子対が芳香環の形成に関与しているためインドールは塩基ではない。 インドールは室温では固体だが、大便臭を発散する。実際大便の臭い成分にもインドールが含まれる。ところが非常に低濃度の場合は花のような香りがあり、オレンジやジャスミンなど多くの花の香りの成分でもあって、香水に使われる天然ジャスミン油は約2.5%のインドールを含む。現在では合成インドールが香水や香料に使われている。またコールタールにも含まれる。

インドールの構造(インドール環)はいろいろな有機化合物、特に生体物質に含まれる。この中にはトリプトファンやインドールアルカロイドなどがある。

インドールは求電子置換反応を3位に受けやすく、インドールに置換基のついた構造はトリプトファンに由来する神経伝達物質のセロトニンやメラトニン、麦角アルカロイド(またそれをもとに合成されたLSD)など幻覚作用を示すアルカロイドに含まれる。また植物ホルモンの一種オーキシン(インドリル-3-酢酸、IAA)のほか、人工化合物では非ステロイド性抗炎症剤のインドメタシン、βブロッカーのピンドロールなどにも含まれる。

インドールの名は植物由来の染料であるインディゴ(酸化されたインドール分子2個が連結した構造をもつ)に由来する。

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カルバゾール

カルバゾール(Carbazole)は、香りの高い複素環式の有機化合物。 窒素を含む5員環、2つのベンゼン環から成っていて、tricyclic構造をもつ。
化合物の構造は、インドール構造に似ているが、もう1つのベンゼン環が、インドールの2-3位置にある形をとる。

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CBS還元

CBS還元(コーリー・バクシ・柴田還元、Corey-Bakshi-Shibata reduction)は、キラルなオキサザボロリジンを触媒としてボランによりケトンを不斉還元して光学活性な2級アルコールを得る還元反応のことである。1987年にイライアス・コーリー、ラマン・バクシ、柴田サイゾウによって報告された。

この還元反応の原型は1981年に伊津野真一らによって報告されたアミノ酸を還元して得られるアミノアルコールをボランとともに用いる不斉還元反応である。 伊津野らは1983年にボランとアミノアルコールを2:1のモル比で反応させると最も高い光学純度で生成物のアルコールが得られること、還元の活性種はオキサザボロリジンにボランが配位したものと考えられることを報告していた。 また1985年にはアルコールの結合した炭素上にフェニル基を2つ導入したアミノアルコールが特に高い光学純度で生成物を与えることを報告していた。 コーリーらは伊津野らによって推定されていたオキサザボロリジンを実際に単離、構造決定し、これは触媒量使用するだけでも不斉還元が可能なこと、特にプロリンに2つフェニル基を導入したオキサザボロリジンが触媒活性、生成物の光学純度ともに優れていることを報告した。

触媒のオキサザボロリジンはアミノ酸から誘導したアミノアルコールとボランを混合するだけで調製することが可能である。 ボランの代わりにブチルホウ酸や3,5-ビストリフルオロメチルフェニルホウ酸ジクロリドを使用する調製法も知られている。 還元剤にはボランの他、カテコールボランも使用できる。 カテコールボランはボランに比べると反応性が穏やかなため、副反応を抑えることができる。

オキサザボロリジンはケトンとボラン双方を活性化させることでこの反応を触媒する。 ケトンはカルボニル酸素がルイス酸性を持つオキサザボロリジンのホウ素に配位して活性化され、一方還元剤のボランはルイス塩基性を持つオキサザボロリジンの窒素に配位して活性化される。 反応のエナンチオ選択性はこのケトンの配位の際にかさ高い置換基がオキサザボロリジンのconcave面側にある方が立体反発が小さく、この状態で隣りの窒素上のボランが付加してくるというモデルで説明されている。

変法としてO-アルキルオキシムをこの方法で還元して光学活性アミンを合成する方法がある。 また、オキサザボロリジンをポリマーに結合させて触媒の再利用を容易にした方法も開発されている。

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DIBAL-H還元

DIBAL-H還元(ダイバール還元)は、水素化ジイソブチルアルミニウムを用いた還元法である。

水素化ジイソブチルアルミニウム(diisobutylaluminium hydride)は有機合成において汎用される還元剤の一つ。[(CH3)2CHCH2]2AlHで表される化合物で、DIBAL, DIBAH, DIBAL-Hなどと略される。ケトンやエステルなどのカルボニル化合物の還元に用いられる代表的な還元剤の一つである。同じく還元剤の一つである水素化アルミニウムリチウムと同程度の還元力を持つが、DIBALはルイス酸性を持ち、有機溶媒への溶解性も高いため反応性が異なる。無色液体だが、ほとんどの場合THF,トルエン,ヘキサン,ジクロロメタンなどの溶液として市販されている。湿気に弱いため、不活性ガス雰囲気下で保存・使用する。


各種官能基に対する反応性
アルキン
シス付加してビニルアランを生じる。これを水で処理すればシスオレフィンが得られ、ヨウ素で処理すればヨウ化アルケニルとなる。

アルデヒド・ケトン
還元されてアルコールを与える。α,β-不飽和ケトンは選択的に1,2-還元を受け、アリルアルコールを与える。

エステル
2当量用いればアルコールまで還元できる。低温で1当量だけ用いるとアルデヒドで止めることも可能だが、実際には過剰還元が起こりやすく、残存エステルとアルデヒドの分離も困難なケースが多い。このため、いったんアルコールまで還元した上でアルデヒドに酸化するか、ワインレブアミドを経由するのも有用な方法である。

ラクトン
ラクトールを与える。エステルの場合と異なり、ほぼ完全にラクトールで止めることができる。

アセタール
一方のアルコキシ基が切断され、エーテルを与える。1,2-または1,3-ジオールをアセタールとし、DIBALで処理すると立体障害の小さい方から還元が進行し、立体障害の大きい方にアルキル基が残る。これによりジオールを区別して保護することが可能になる。

ニトリル
過剰量のDIBALを作用させるとアミンにまで還元されるが、1当量だけ用いるとアルドイミンの段階で止めることができる。これを酸処理すればアルデヒドが選択的に得られる。

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ホスホリル

ホスホリル(Phosphoryl)とは、官能基POを持った化合物のこと。

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オゾン分解

オゾン酸化はオゾンによって有機化合物の炭素-炭素二重結合を酸化切断する酸化反応のことである。オゾン分解(ozonolysis)あるいは発見者の名前を含めてハリースオゾン分解 (Harries ozonolysis) とも呼ばれる。

1905年にカール・ハリース (Carl Dietrich Harries) によって報告された反応で、炭素-炭素二重結合を酸化切断して2つのカルボニル基へと変換する反応である。


反応は基質をジクロロメタン、メタノール、酢酸などの有機溶媒に溶解して −78 ℃ に冷却し、酸素ガス中の無声放電で発生させたオゾンガスを溶液がオゾンガスで飽和するまで吹き込むことで行う。飽和すると溶液がオゾンによって青く着色する。この段階では後述する反応機構の通りオゾニドが生成しているので、これを後処理で分解して目的物を得る。

反応の機構は1953年にロドルフ・クリーゲー (Rudolf Criegee) によって提唱された以下の機構が一般的に受け入れられている。

オゾンが二重結合に 1,3-双極子付加反応により付加して、極めて不安定な1,2,3-トリオキソラン(モロゾニド、モルオゾニド (molozonide) と呼ばれる)を生成する。
1,2,3-トリオキソランは分解開裂して、1つのカルボニル化合物 (R1R2C=O) とカルボニルオキシド (R3R4C=O→O に分解する。
塩化メチレンのような不活性な溶媒中ではカルボニル化合物にカルボニルオキシドがもう一度 1,3-双極子付加反応を行い、1,2,4-トリオキソラン(オゾニド (ozonide) と呼ばれる)を生成する。
メタノールや酢酸のような求核性を持つ溶媒中ではカルボニルオキシドにこれらの溶媒が付加してヒドロキシヒドロペルオキシドのメチルエーテルや酢酸エステルとなる。
最終的にはオゾニドやヒドロキシヒドロペルオキシドを還元することで目的のカルボニル化合物を得る。

オゾニドやヒドロキシヒドロペルオキシドをどのように処理するかによって目的物にバリエーションができる。

通常は酢酸溶媒中亜鉛で還元したり、ジメチルスルフィドで還元することでカルボニル化合物へ誘導する。メタノール中で還元処理を行うと一方のカルボニル化合物はジメチルアセタール化されて得られる。

酸や熱によって分解すると、二重結合上の炭素に水素が結合していた場合にはカルボン酸に酸化されて得られる。両方の炭素に水素が結合していた場合にはどちらか一方がアルデヒド、もう一方がカルボン酸で得られる。水素化ホウ素ナトリウムや水素化アルミニウムリチウムを還元剤として使用すると得られたカルボニル化合物からさらに還元が進み、アルコールが得られる。

オゾニドやヒドロペルオキシドは爆発性を持つため、残存した状態で溶媒を留去して濃縮することは非常に危険である。充分に還元反応を行って完全にオゾニドやヒドロペルオキシドを消費しておく必要がある。爆発の危険を避けるために、オゾン酸化の代わりに四酸化オスミウムによる二重結合の 1,2-ジヒドロキシ化に続く過ヨウ素酸ナトリウムによるグリコール開裂によってカルボニル化合物を得る方法が用いられることがある。しかし、試薬が高価であることや四酸化オスミウムが猛毒性であるなどの別の問題点があり一長一短である。

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アルキリデン基

アルキリデン基(alkylidene groups)は、アルカンの同一の炭素原子から二個の水素原子を除去することにより生成し、遊離原子価が二重結合の一部になる基。例えば、(CH3)2C= プロパン-2-イリデン (propan-2-ylidene)。

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スルフィド

ジスルフィドの一般構造式スルフィド (sulfide, sulphide) は二価の硫黄が2個の有機基で置換された有機化合物である。その構造は R-S-R' で表され、エーテルの酸素を硫黄で置換した構造を持つことから、チオエーテル (thioether) とも呼ばれる。一方、硫黄原子はカートネーション性を示す元素であることから、R-SS-R' や R-SSS-R' など硫黄原子が線形に連結した化合物も存在し、それらはジスルフィド (disulfide)、トリスルフィド (trisulfide) と硫黄原子の連結数に応じて呼ばれる。化合物の二つの部分構造がスルフィドあるいはジスルフィドで連結されている場合、当該部分はスルフィド結合またはジスルフィド結合と呼称されることもある。


通常、スルフィドは、チオールに塩基を作用させて発生させたチオラートアニオンと、ハロゲン化アルキルなどの間の求核置換反応により合成される。

R-SH H+ + R'-X → R-S-R' + X
対称ジスルフィドは、チオールに適当な酸化剤を作用させれば発生する。反応系を弱塩基性にすることもある。

2 R-SH + [Ox] → R-SS-R

スルフィド類は特有の臭気を持ち、おおむね悪臭を示す。もっとも単純な構造を持つスルフィドであるジメチルスルフィドは、いわゆる「磯の香り」の主成分である(ごく低濃度での感じ方であることに留意されたい)。また、ニンニクやタマネギの臭いの元もスルフィド類である。

スルフィドもジスルフィドも酸化されやすく、S-オキシド体あるいは S,S-ジオキシド体へと酸化される。

また生体内反応でメチル化反応はメチオニン残基に由来する S-メチルスルフィドが関与している。

ジスルフィドは還元的に開裂し、それぞれ2つのチオール基となる。チオール基同士は酸化条件下でジスルフィド結合を形成する。この様に生体内においては蛋白質のシステイン残基は、蛋白質のおかれた環境の酸化的あるいは還元的な雰囲気の変化に応じて、ジスルフィド結合を形成したり開裂したりしている。このことは蛋白質の高次構造を決定する上で重要な要素となっている。

R-SS-R + [Red] → 2 R-SH
ジスルフィドは強い求核剤 (Nu) と反応して、チオラートアニオン と置換生成物とを与える。

R-SS-R + Nu → R-S-Nu + RS
また、身近な例においては美容のコールドパーマは毛髪のシスチン残基のジスルフィド結合を還元的に切断した後に髪型を形成し、その後に酸化的にジスルフィド結合を再結合させることにより、毛髪を生成している蛋白質を固定化している。


主な化合物
ジメチルスルフィド
マスタードガス(ビス(2-クロロエチル)スルフィド) - 化学兵器の一つ。

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チオール

チオールの一般構造式チオール (thiol) は水素化された硫黄を末端に持つ有機化合物でメルカプタン (mercaptan) とも呼ばれる。チオールは R-SH(R は有機基)であらわされる構造を持ち、アルコールの酸素が硫黄で置換されたものと等しいことから、チオアルコールとも呼ばれる。また置換基として呼称される場合はチオール基と呼ばれ、水硫基、メルカプト基、スルフヒドリル基と呼称されることもある。


チオールの命名は SH が結合している炭素を番号で示し、骨格の炭化水素の名前を続け、語尾 e に続けて -thiol とする(IUPAC命名法)。

(例)CH3-SH = メタンチオール (methanethiol)


多くのチオールは特異的な悪臭をもつ。これは生物(たんぱく質)が腐敗した際にシステインなどの含硫黄アミノ酸が分解されることによってできるチオールを生物が腐敗の指標とするように遺伝形質が選択されたという説がある。この悪臭は低濃度でも感じるため、ガス施設等のガス漏れ検知剤や、都市ガスのにおい(ガス漏れにすぐ気づくように微量のチオールが添加されている)として使われる。しかし、このにおいは細胞に吸着し易いのが難点である。


解離した後のアニオンが硫黄原子上で安定化する寄与が存在する為に、チオールの水素は相当するアルコールの水素に比べて高い酸性度(小さい pKa 値)を示す。また S-H 間の分極が弱く、アルコールよりも分子間の水素結合が弱いため、アルコールと相当するチオールの沸点を比べたときにアルコールの方が沸点が高い傾向を示す。

生化学で最も重要なチオールはおそらく補酵素A (CoA) である。これは補酵素Aのチオール基 (SH) とアシル基が結合したチオエステルから容易にアシル基が転移する性質に由来する。アミノ酸のひとつ、システインもチオールの一種である。


化学的にはハロゲン化アルキルをアルカリ溶媒下で硫化水素と反応させると生成する。ジスルフィドを還元させたり、グリニャール試薬を硫黄分子で処理する方法も用いられる。

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オレフィン

炭素二重結合を1つ以上持つ不飽和炭化水素はオレフィン炭化水素 (olefin hydrocarbon) と呼ばれ、単にオレフィンと呼ばれたりエチレン系炭化水素とも呼ばれたりする。場合によってはオレフィンの語は炭素二重結合と同義のように扱われる為、ポリオレフィンといった場合はポリエン化合物のことをさす。

二重結合が1つの場合はアルケン、環の中に含まれている場合は環状アルケンと呼ばれる。

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ヒドラゾン

ヒドラゾン (hydrazone) とは、有機化合物のうちカルボニル化合物 (R1C(=O)R2)と、ヒドラジンあるいはヒドラジン誘導体 (H2N-NR3R4) とが脱水縮合した構造 R1C(=N-NR3R4)R2 を持つ化合物群のこと。複素環式化合物などへの合成中間体として用いられる。また、反応中間体として現れることもある。

イミンの部分構造を持つことから、塩基性や配位性を示す。酸や塩基の水溶液で処理すると加水分解を受け、元のケトンとヒドラジンに戻るが、その反応性は置換基の種類や立体障害により異なる。炭素上の立体障害が小さいヒドラゾンほど、加水分解を受けやすい。


通常は、ケトンとヒドラジンの脱水縮合で合成する。

R1C(=O)R2 + H2N-NR3R4 → R1C(=N-NR3R4)R2
カルバニオンとジアゾニウムイオンが結合してできるアゼン (azene) が互変異性化するとヒドラゾンとなる。

EE'CH− + +N2Ar → EE'CH-N=N-Ar (アゼン) → EE'C=N-NHAr (E,E' = 電子求引基)
上の例は活性メチレン化合物の反応であるが、活性メチン化合物を基質とした場合は電子求引基が脱離した生成物が得られる場合があり、Japp-Klingemann 反応 と呼ばれる。

Ac(E)(R)C− + +N2Ar → EE'C=N-NHAr + AcOH (Ac = アセチル基)

イミンやカルボニル化合物と同様に、炭素上が電子不足になっているために求核剤の攻撃を受ける。求核剤が水や水酸化物イオンである場合が加水分解である。


求電子剤は反対側の窒素を攻撃する。例えば、ハロゲン化アルキルでアルキル化することができる。

アルデヒドのカルボニル炭素と結合し、アジン (azine) を与える。

R(R')C=N-NH2 + R''-CHO → R(R')C=N-N=CHR'' (アジン)

ヒドラゾンに水素化リチウムアルミニウムを作用させると水素化を受けてヒドラジンとなる。

R(R')C=N-NH2 + LiAlH4 → R(R')CH-NH-NH2
酸化銀(I) で脱水素させ、ジアゾ化物に変える反応がある。

(H3C)2C=N-NH2 + Ag2O → (H3C)2C=N2

ウォルフ・キッシュナー還元では、ケトンとヒドラジンから最初にヒドラゾンができ、さらなる強塩基の作用により窒素分子が脱離してメチレン化合物に変わる。

ヒドラゾンはまた、フィッシャーのインドール合成やエッシェンモーザー・タナベ開裂の中間体として知られる。


セミカルバジド (H2N-NHC(=O)NH2) とカルボニル化合物から得られるヒドラゾン誘導体は、セミカルバゾン (semicarbazone) と呼ばれる。

2個のヒドラゾン基が隣接した化合物 (R-C(=N-NH2)-C(=N-NH2)-R) は、特にオサゾン (osazone) と呼ばれる。

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Wolff-Kishner還元

ウォルフ・キッシュナー還元(Wolff-Kishner reduction)はケトンやアルデヒドのカルボニル基をヒドラジンによって還元してメチレン基にする化学反応のことである。


1911年にニコライ・キッシュナー、1912年にルートヴィッヒ・ヴォルフによって独立に発見された。原報はカルボニル化合物をヒドラジンと反応させてヒドラゾンとした後、塩基とともに封管中で加熱融解するというかなり厳しい反応条件であったが、1946年にファン・ミンロン(Huang—Minlon)によってカルボニル化合物とヒドラジン水和物をエチレングリコール中で水酸化カリウムを触媒としてヒドラゾンを単離することなく反応させる改良法が報告された。また溶媒としてジメチルスルホキシドを使用すると室温付近の温和な条件でも反応が進行するという改良法も報告されている。

反応機構はヒドラジンとカルボニル化合物が反応して生成したヒドラゾン(R2C=N-NH2)が塩基により異性化してジアゼン(R2CH-N=NH)となった後、塩基により窒素上のプロトンが引き抜かれて窒素分子が脱離するフラグメンテーションが起こり、生じたカルバニオンがプロトン化されてメチレン基に還元された生成物が得られるというものである。


ヒドラジン誘導体であるセミカルバジドも同様の反応を起こす。

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ヒドラジン

ヒドラジン (hydrazine) は無機化合物の一種で、示性式が H2NNH2 と表される強塩基。

アンモニアに似た刺激臭を持つ無色の液体で、空気に触れると白煙を生じる。水に易溶。強い還元性を持ち、分解しやすい。引火性があり、ロケットや航空機の燃料として用いられる。常温での保存が可能であるため、ロシアなどのミサイルの燃料としても広く用いられており、また人工衛星や宇宙探査機の姿勢制御用の燃料としても使われている。

水と共沸し、55 mol% のヒドラジンを含む混合物を与える。化学実験で用いる際は通常、抱水ヒドラジン (ヒドラジン一水和物、H2NNH2•H2O)が用いられる。

ヒドラジンをカルボニル化合物と脱水縮合させると、ヒドラゾンが生じる。

R-C(=O)-R' + H2NNH2 → R-C(=NNH2)-R' + H2O
ケトンを強アルカリ条件でヒドラジンとともに加熱すると、カルボニル基が還元を受けてメチレン基に変わる(ウォルフ・キッシュナー還元)。

R-C(=O)-R' + H2NNH2 → R-CH2-R' + H2O + N2 (強アルカリ条件)
カルボン酸ハロゲン化物などのアシル化剤と反応し、ヒドラジドを与える。

R-C(=O)-Cl + H2NNH2 → R-C(=O)-NHNH2
パラジウム触媒とともに用いると、水素源としてアルケンやニトロ基などを水素化し、アルカンやアミノ基に変える。

Ar-NO2 + H2NNH2 → Ar-NH2 (パラジウム触媒下)
さまざまな酸とともに対応する塩を生成する。

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ヒドロホルミル化

ヒドロホルミル化(hydroformylation)はアルケンに対して一酸化炭素と水素を付加させてアルデヒドを合成する化学反応である。

アルケンの二重結合を構成する2つの炭素に対してそれぞれ水素原子(ヒドロ)とホルミル基が付加することから、ヒドロホルミル化の名前がある。 工業的にアルデヒドを製造する上で重要な方法の一つであり、オキソ法(oxo process)とも呼ばれる。

歴史
この反応は1938年にRuhrchemie社のオットー・レーレン (Otto Roelen) によってフィッシャー・トロプシュ合成の研究中に発見された。レーレンはアルケンを高圧の水素と一酸化炭素の混合気体とコバルトオクタカルボニル Co2(CO)8 を触媒として高温で反応させるとアルデヒドが得られることを発見した。

その後、1960年代になってロジウムのカルボニル錯体が高い触媒能を持つことが発見され、より温和な条件で反応を行なうことができるようになり応用範囲が広がった。

またロジウム触媒では水素化などの副反応が起きやすいことや、位置選択性がコバルト触媒よりも劣るなどの問題点があったが、この点の改善にホスフィン配位子の添加が有効なことがジェフリー・ウィルキンソンらによって報告された。

また1980年ごろからキラルなホスフィン配位子を持つ錯体によるエナンチオ選択的なヒドロホルミル化も報告されるようになった。

用途
この反応の最大の用途は可塑剤として用いられるフタル酸 2-エチルヘキシルの製造であった。すなわちプロペンをヒドロホルミル化してブタナールとし、これをアルドール縮合により2-ブチリデンブタナールとし、これを水素化して2-エチルヘキサノールとし、フタル酸とエステル化するというプロセスである。しかし現在ではフタル酸エステル類は内分泌撹乱物質として規制されつつある。

そのほか、石油より得られた長鎖のアルケンから直鎖のアルデヒドを経て、直鎖のアルコールを合成するのにも使用される。これらのアルコールは界面活性剤や化粧品の原料として使用される。

また、ビタミンAの製造にも使用される。

反応機構
コバルト錯体の場合もロジウム錯体の場合も反応の活性種はヒドリドカルボニル錯体である。コバルトオクタカルボニルを触媒とした場合には以下のメカニズムで進行していると考えられている。この触媒サイクルは提唱者の名をとってヘック・ブレスロウ (Heck-Breslow) 機構と呼ばれる。

コバルトオクタカルボニルと水素が反応して、コバルトテトラカルボニルヒドリド2分子に解離する。
カルボニル配位子が1つ解離して、コバルトトリカルボニルヒドリドとなる。
基質のアルケンが配位する。
コバルト-水素結合にアルケンが挿入してアルキル配位子となる。
再びカルボニル配位子が金属に1つ配位する。
アルキル配位子のコバルト-炭素結合にカルボニル配位子が転移挿入してアシル配位子となる。
水素分子が酸化的付加してジヒドリド錯体になる。
アシル配位子とヒドリド配位子が還元的脱離してアルデヒドとなる。コバルトトリカルボニルヒドリドが再生する。
ロジウム錯体でも触媒サイクルはコバルト錯体と類似している。ホスフィン配位子のないロジウムのカルボニル錯体はクラスターとなるため、反応機構の詳細は解明されていない。ロジウムカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリド HRh(CO)(PPh3)3 を触媒とした場合についての研究では、トリフェニルホスフィン1つとカルボニルが配位子交換したロジウムジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ヒドリド HRh(CO)2(PPh3)2 が活性種と考えられている。

それによる反応機構は触媒濃度が高い場合にはコバルト錯体の場合のコバルトテトラカルボニルヒドリドをこの化学種で置き換えたものになる。触媒濃度が低い場合には、アルケンの配位はカルボニル配位子ではなくトリフェニルホスフィンが脱離して起こり、ロジウム-水素結合への挿入の後にトリフェニルホスフィンの再配位が起こるというように、機構が変化していると考えられている。


選択性
位置選択性
1,1-二置換型のアルケンや立体的にかさ高い置換基を持つ一置換アルケンでは立体障害から予想される通り、立体的に空いている側にホルミル基が導入される。しかしそれほど立体的に大きくない置換基を持つ一置換アルケンでは複雑な位置選択性を示す。脂肪族のアルケンではコバルト触媒では末端側にホルミル基が導入された方の生成物が主生成物として得られる。

しかし、トリフェニルホスフィンのように単純なホスフィン配位子を持つロジウム触媒の系では位置選択性が悪く、生成物は位置異性体の混合物となる。この場合ホスフィン配位子を大過剰に使用するとコバルト触媒と同じように末端側にホルミル基が導入された生成物が主生成物となる。より選択性を上げるためには基質に応じたホスフィン配位子を用いる必要がある。一方スチレンの場合には内部の炭素にホルミル基が導入されたヒドロトロパアルデヒドが主生成物として得られる。


立体選択性
ヒドロホルミル化の立体選択性は syn である。これは反応機構において、アルケンの挿入の段階は syn で進行し、カルボニル基の転位挿入は立体保持で進行することによる。ただし触媒によっては反応途中に二重結合の異性化が起こって若干選択性が低下することがある。

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ホルミル化

ホルミル化は、Grignard試薬や有機リチウム化合物にDMFやN-ホルミルピペリジンなどを作用させてアルデヒドを合成する反応のこと。種々のホルミル化剤が開発されており、アルデヒドを良好な収率で得ることができる。

アルデヒドは実験室的には第一級アルコールを弱い酸化剤(例えばクロロクロム酸ピリジニウム (PCC))で酸化すると生成する。

R-CH2OH + oxidant → R-CHO
PCC酸化の他にも多くの酸化法が知られる。PDC酸化、スワーン酸化、TPAP酸化、デス・マーチン酸化 などを参照されたい。工業的な酸化方法では、銅などの触媒を用いてアルコールを空気または酸素で酸化する方法がよく用いられる。


工業的なアルデヒド合成法としては、アルケンの二重結合に対して水素と一酸化炭素を触媒を用いて付加させるヒドロホルミル化が多用される。

RCH=CHR' + H2 + CO → RCH2-CHR'-CHO

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ホルミル基

ホルミル基 (formyl group) は、アルデヒド基のことで、 -CHO と構造が表される1価の官能基のこと。「ホルミル-」は IUPAC命名法の接頭辞として用いられる。第一級アルコールの -CH2OH の部位を酸化することで得られる。また、アルデヒド基を酸化するとカルボキシル基を得ることができる。水素結合がごく弱いため、自己会合は弱く、水との親和性も弱い。

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pro-R・pro-S

ある sp3型炭素上の 4個の置換基が、CX2YZ というように、2つの同じ置換基 X と、異なる 2つの置換基 Y、Z からなる場合、その炭素は光学活性中心ではない。しかし、X が新しい別の置換基 W に置き換われば CWXYZ の形となり光学活性中心となる。このときの中心炭素も、プロキラル中心である、という。

CX2YZ 上にある 2個の X について、それらを区別する表記法がある。以下に概略を述べる。

各置換基について CIP則を適用し、優先順位を決める。そのとき、2個の X のうちどちらかの優先順位を、もう一個よりも高いものと仮定する。Y、Z との優先順位の関係は変えない。
仮の優先順位に基づき、RS表記法にしたがって中心炭素のキラリティが R か S かを決める。
R体だった場合は、そのときに優先させた X を pro-R と、S体だった場合はpro-S と称する。


ヘテロトピック性
CX2YZ と表される炭素上において、どちらかの X を新しい置換基で置き換えて生成する 2種類の化合物がエナンチオマーの関係にあるとき、その 2個の X は エナンチオトピックな関係にあると言う。ジアステレオマーの関係にあるときは、ジアステレオトピック な関係にあると言う。ジアステレオトピックな関係にある原子の核は、NMR スペクトル上で区別されて観測される場合がある。

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